学会発表 | 学会名 |
演題 |
日本整形外科科学術総会 | 脳性運動障害に伴う側弯症み対する装具治療と矯正に関わる因子の検討 | |
大阪整形外科・リハビリテーション研究会学術講演会 | 症候性側弯症の保存的治療について プレーリーくんを用いて | |
日本リハビリテーション医学会近畿地方会 学術集会 | 症候性側弯の治療成績評価試案について | |
日本障害児歯科学会総会および学術大会 | 肢体不自由児者に対する医療の変遷 | 講演 | 大阪府地域保険課 乳幼児の運動発達と療育支援について |
母子センターPWSの会 プラダー・ウイリー症候郡の側弯症について | ||
レット親の会 レット症候郡にみられる側弯に対しする装具療法の試み |
学会発表 | 学会名 |
演題 |
ボバーズ研究会全国大会 | 原点、そしてこれから ~謙虚と挑戦~ | |
16th Congress of the European Federation of Neurological Societies EFNS | Management of scoliosis due to Rettsyndrome the novel spinal brance | |
第46回日本側弯症学会 | Rett症候群に伴う側弯変形に対する装具治療と初期矯正率 | |
平成24年度全国重症心身障害児施設職員研修会 | 重症心身障害児・者側弯の保守治療(プレーリーくんによる) | |
第23回日本小児整形外科会 | R6歳未満の側弯症に対する装具治療と矯正に関わる因子の検討 | |
Combined 33nd SICOT & 17th PAOA Ortopaedic World Conference |
A novel Spinal Brace in Management of Scolisis due to Cerebnal Palsy | |
第23回日本小児整形外科会 | R6歳未満の側弯症に対する装具治療と矯正に関わる因子の検討 | |
講演 | 大阪府地域保険課(四条畷) 乳幼児の運動発達と療育支援について | |
松石教授講演会 レット症候群による側弯症に対する保守的治療の試み -新しい大幹装具(プレーリーくん)による挑戦 | ||
大阪府地域保険課(藤井寺) 乳幼児の運動発達と療育支援について |
鈴木 恒彦
社会福祉法人 愛徳福祉会 前理事長
手足の動きが悪いという訴えで受診される脳性運動障害のお子さんの中で、腹部の筋緊張が弱くて体を垂直方向に起こすのが難しい児の方が少なくありません。抱っこやお坐りで身体中心部(コア)の体幹が不安定な場合、手足の麻痺は姿勢変化に伴いより目立ってきます。
プレーリーくんはこんな時に試しに装着してみるとその効用がはっきりわかります。装着直後から抱っこがし易くなり、ちょっとした椅子に座位姿勢がとれるからです。さらに嫌がらずに装着を続けると、骨盤の傾きが修正され、下肢のアライメントと動きが変わってきます。両手も体の前に出し易くなるので、前に置かれた机の上に腕を置いて支える活動が見られることもあります。しかし、短絡的治療効果を目指した装具ではありません。装具の試着によってその効用が確認できた場合には、改めて御本人用装具の採型が必要になります。この場合、腹部不安定をどの方向から支えるのが姿勢コントロールに有効なのかを何回も確認する必要があります。
側弯変形は三点支持によって矯正されるはずですが、麻痺性側弯変形では姿勢反射を含む多様な因子が影響し、そう簡単ではありません。装具の仮り合わせの段階では、レントゲンチェックを含めて何度も修正が慎重に行われます。出来上がり装具の着用後も、生活時間の中でお子さんの装具受け入れ(装着時間)が円滑かどうかを月単位でチェックし、生活の中の有用性を追求します。
このように時間をかけた装具着用の段階を踏まえて、プレーリー装具による治療がはじめて期待出来るようになります。
菅本 一臣
大阪大学大学院 医学系研究科 運動器バイオ・マテリアル学 教授
一般的に特発性側弯症領域で重要視される体幹バランス異常という概念は脊柱が非対称であることを指す。それを治す目的で脊柱を矯正して固定する方法で装具や手術治療体系が形作られてきた。
一方様々な症候性側弯症における体幹バランスは同じような言葉を用いているもののその中に含まれる意味が大きく異なる。この場合の体幹バランスとは体幹や四肢をくねらせて体全体のバランスをとることである。綱渡りでは両手両足を動かしながらバランスをとらなければすぐに落下してしまうのと同じだ。その動かす機能がいかに重要かを梶浦先生たちは数十年にも及ぶ脳性麻痺患者の治療の中で経験されてきた。しかしその治療の中で特に難渋し最後まで従事する医療関係者を困らせてきたのが脊柱変形であった。
この度開発された体幹装具プレーリーくんはそれを解決する可能性のあるものである。これまでの装具と大きくコンセプトを異にし、動的脊柱装具とでもいうべきであろうか支柱が体幹の動きを許容しながら、保持するというフレキシブルなものとなっている。その支柱の物理特性がカギとなってくるが、これまでの診療経験をもとに適した支柱を嗅ぎだし作成された。すでに数百例にも及ぶ使用データからは素晴らしい装着感と機能向上がうかがえる。
今後は医工、産学連携によって最適の支柱特性を客観的評価から導き出されるものと期待している。一見不思議な装具のように思われる方も多かろうが、30年前梶浦先生に数年間教えていただいた私としては、動的脊柱装具の概念に何の違和感もなく、脳性麻痺のプロにしか考えつかない素晴らしいものと思っている。
発明の名称 | 側彎矯正装具 |
発明者 | 梶浦 一郎 |
登録権利者 | 社会福祉法人愛徳福祉会 |
特許番号 | 特許第4747327号 |
梶浦 一郎
社会福祉法人 愛徳福祉会 名誉理事長
1970年以来、脳性麻痺の早期治療および継続したリハビリテーションの実際と、それに伴う生活援助はBobath夫妻の考えに基づいて行ってきました。
2007年に開発したプレーリーくんもその流れの中で、ボバース概念から生まれたものです。不可能と思われることに対して挑戦する事を大切にして、脳性麻痺の治療は動的で且つ、具体的でなければならない、との考えから生まれています。従来の体幹装具がミルウォーキー装具以来の基本構造として、骨盤帯による固定の上に立てた支柱に対して、突出している脊柱をベルトで引張って押えることにより矯正を計り、その位置で強固に固定するという静的なものであったのに対し、その常識を破り動的脊柱装具(プレーリーくん)は外転筋、伸展筋部で広く支える支柱に対し、緩やかなそして持続する矯正力を働かせ、弾性のある支持を行う構造としました。そして、それは本来人が持っている自律的な矯正力を促進させるものです。
この結果、全身に多くの障害を伴っている障がい児・者にも容易に装着出来て、効果を発揮できる装具となりました。